2015年10月22日木曜日

魁!日ユ同祖論フルボッコシリーズその9

魁!日ユ同祖論フルボッコシリーズその9
「大和民族はユダヤ人ではなかった」
本編突入の巻

では前回に続いてアイデルバーグの著書の第二章。
出エジプトやモーセ等旧約聖書の内容が出てくる。
第三章では日本書紀や古事記について説明をして
両者を比較し、共通点について語りたいらしい。

(私は古事記も日本書紀も読んだことがないので

第三章についてはスルーする)

しかし聖書を一回でもまともに読んだ事がある人なら

すぐに気が付く点がある。
本書の記載内容は明らかに聖書の内容と矛盾しているのだ。
それなのにアイデルバーグは涼しい顔で
「古代ヘブライ人の偉大なる冒険に関する唯一の情報、唯一の証拠は、
旧約聖書のページの中にのみある」(P40)
と書いている。なんという二枚舌。
「息をするようにウソをつく」という詐欺師の真髄。
以下、その矛盾点を検証。

【アイちゃんの主張】
エジプトから出発したヘブライ人は西へ行った。
東へは山のせいで行けなかった。
紅海(=東)へも行かなかった。
その根拠は出エジプト記の13章17節。
さて、パロが民を去らせた時、ペリシテびとの国の道は

近かったが、神は彼らをそれに導かれなかった。

「旧約聖書は、彼らがエジプトを出てから、どの方角に向かったのかを言っていない。」(P40)

との事なのでアイデルバーグの主張する
「科学的」な分析によって西へ行ったと結論付けたらしい。

【正解】
アイデルバーグが引用した箇所(出エジプト記の13章17節)の
たった1行先=18節には行き先が明記してある。
神は紅海に沿う荒野の道に、民を回らされた。
よって「紅海方面に行った」が正解。
たった1行先を無視するのは確信犯だろう。
勿論、これは翻訳の問題ではない。
ヘブライ語版聖書=BHS
(ビブリアヘブライカシュツットガルテンシア)でも

ים סוף 」=紅海と書いてある。

「東も南も山があって通れなかったからら西へ行く道しかなかった」(P41)
というのもウソ。例えば創世記42章7節。
彼らは答えた、「食糧を買うためにカナンの地からきました」。

カナン=現在のクソラエル付近から食糧難で
ヤコブの家族がエジプトに避難してきた場面だ。
クソラエル方面からエジプトへ歩いて行くとしたら
シナイ半島しか無い=エジプトの東が通り道である。


 【アイちゃんの主張】
 出エジプト記に出てくる地名が、今でもこのサハラ砂漠周辺には
残っているから自分の主張は正しい(P41)
それだと十戒を授かったシナイ山に行けなくなるが
そもそも十戒を授かったのはシナイ山ではない。


 【正解】
 これもウソ。十戒を授かったのはシナイ山と聖書に明記してある
(出エジプト記19章)
聖書を否定するのなら
「古代ヘブライ人の偉大なる冒険に関する唯一の情報、唯一の証拠は、
旧約聖書のページの中にのみある」(P40)
なんて心にも無い事を偉そうに語るのはやめろ。


 【アイちゃんの主張】
 エミクーシ火山(死火山)の「近く」のコロ・トロが
十戒を授かった場所である。
現在はコロ・トロ空港がありチャド北部。
(Koro-Toroでグーグルマップにヒット)
その根拠は申命記4章11節。

山は火で焼けて、その炎は中天に達し、
暗黒と雲と濃い雲とがあった。
これは火山の事である。

コロトロは、バンバラ族の言葉の「マンデ語」で
「古代の野牛」を意味するから
「黄金の子牛」の場所に相応しい(P51)
(いきなり黄金の子牛が出てくる理由は出エジプト記参照)


 【正解】
 「コロトロ」なんて聖書にひと言も出て来ない。
しかもエミクーシ山は死火山。
仮にアイデルバーグが主張する通り3200年前なら
エミクーシ山が活火山だった可能性があるとしても
コロトロからエミクーシ山までは400キロも離れている。
400キロも先まで炎が見えるような大噴火はおかしい。
直線距離で400キロと言えば例えば富士山から

ほとんど岡山県にさしかかるぐらいの距離。
富士山が噴火しても岡山では全く何も見えない、

全く何も聞こえないはずだ。
イエローストーン大噴火並のカタストロフィーでも

起きれば別かもしれないが、
そんな危なっかしい所をウロツク意味が分からない。

 【アイちゃんの主張】
 西へ行ったヘブライ人が
「直面した最初の障害は、旧約聖書ヘブライ語版にある、
葦の海という大きな湖にでくわしたこと」(P41)で

これを「ヤムサフ」と呼び「葦の海」という意味だ(P91)

 【正解】
 聖書には「最初の障害は湖」とか「ヤムサフ」とか
そういう記述は無い。
BHS(ビブリアヘブライカシュツットガルテンシア)でも同様。
そもそもアイデルバーグ自身が「葦の海」と、

自分自身で「海」と言いながら、
それを湖だと言い張るのは矛盾している。


 【アイちゃんの主張】
 「深い塩水の海が葦の成長を保てるはずがないので、紅海ではない」(p41)

 【正解】
もそも「葦」は聖書の出エジプトのこの場面に記載がないので
別に葦が育とうが育たなかろうが、どうでもいい。


実はアイデルバーグが聖書を無視して暴走するのには理由がある。
それは、日本書紀や古事記と共通点が欲しいからだ。
アイデルバーグの主張ではモーゼ=神武天皇なので
「(神武)天皇はその国を原の国と称え」(P76)という

記述との共通点が欲しい。

共通点があれば日ユ同祖論を主張するには実に都合がいいだろう。
だが、実際には日本書紀や古事記と旧約聖書の共通点なんぞ
誤差の範囲内程度しか存在しない。
そこで「証拠が無いなら捏造すればいい」という
まるでイラク戦争開戦前のジョージ=ブッシュばりの
極悪非道な発想でゴリ押ししている。


聖書によると出エジプト記14章9節に。
エジプトびとは彼らのあとを追い、(中略)
海のかたわらに宿営している彼らに追いついた。
と記載がある。

海だ。決して湖ではない。
勿論、ヘブライ語で海と湖は全く別の単語なので
翻訳の問題という可能性も無い。
ヘブライ語で、海は「ים」=ヤム 
若しくは 「אוקיינוס」=オキアノス

(これはもしかしたらギリシア語からの借用語?)
湖は「אגם」=アガム。当然別物。 
で、BHSを引用すると

וירדפו מצרים אחריהם וישיגו אותם חנים על הים כל סוס רכב פרעה ופרשיו וחילו על פי החירת לפני בעל צפן

これが問題出エジプトの14章9節。青字に注目。
「アルハヤム」=海。ウソだと思ったらコピペで翻訳してこい。

→参考doitinHebrew.com(オンライン翻訳サイト)
「on the sea」と出る。
「アル」は前置詞。「ハ」は定冠詞。で、「ヤム」が海。
さっきも紹介した海だ。
BHSを持ってない人はここを見ればいい。→リンク
オンラインで読めるヘブライ語と英語の対訳聖書

それの出エジプトの14章だ。そこの9節。よく見てこい。

思いっきり「アルハヤム」と書いている。

ユダ公でありながらヘブライ語が読めないのか?
そういえば、アイデルバーグはオデッサ出身だった。
もしかして、アレか。悪名高いアシュケナジーユダヤかw

宇野正美あたりが必死に主張している
アシュケナジーユダヤとスファラディーユダヤの問題は
また追々書く。ひと言で言えばあれもウソ。
そして宇野正美もキリスト教徒。

では、最後はいつものひと言で。
「黒幕はキリスト教徒!」
(完)