2015年10月19日月曜日

魁!日ユ同祖論フルボッコシリーズ その4

魁!日ユ同祖論フルボッコシリーズ  その4
君が代はヘブライ語ではありません

URLは晒さないが某HPを見ていると
次のような画像を見つけた。

なんでも、君が代はヘブライ語であるそうだ。
そしてこれが
「日ユ同祖論の中でももっともメジャーな根拠」
とすら書いてあった。
べつにこの画像を公開している某HPに限らず
日ユ同祖論関係のHPでは似たような内容がよく主張されている。

そこで今回は「君が代ヘブル語説」を滅多切りにする。


まずはお断り。
私はヘブライ語は入門書を齧ったレベルでしかない。

文法も語彙も至らない点が多々ある。
そこで私は「英検で言ったら5級程度の初心者レベル」
という意味で「ヘブライ語5級」と自称している。
(日本国内にはヘブライ語の資格は基本的に無い)
そのため文法や語彙については私自身が間違えている点もあるだろう。
しかし文法その他語学的に正確なツッコミは
また何年か後にでもやればいいと考えている。

但し、以前も書いた通り、日ユ同祖論を見ていると
基礎以前で大失態を晒している恥ずかしいミスが多い。
英語で言えば中学一年生ですら、やらかさないようなレベルのミスだ。
その程度のミスになら私でもツッコミを入れられる。

また、逆にその程度のミスの方が読者にとっても都合がいいはずだ。
なぜならば、あまりに専門的な話をされても
読者はknznymmmyが言っている内容が嘘か本当か、

理解も検証もできないからだ。
どこの馬の骨とも分からないプー閣下の言う事なんか
どこまで信じていいのか読者も悩むだろう。

私の主張内容が正しいのか検証できるサイトを多少紹介しておく。

グーグル翻訳
オンラインヘブライ語辞典 

以前も紹介した「歌って覚えるヘブライ語」(youtube

そういう意味では、超初心者レベルのヘブライ語、
文字だけ覚えればすぐにでも検証できるような

超初心者レベルのヘブライ語にもとづいて、
日ユ同祖論を批判する事にも意味はあると思う。

そして、読者には日ユ同祖論信者が、

いかに無茶をゴリ押ししているか、その一端を理解してほしい。
では早速先程の画像にツッコミを入れていく。

======= Let's go! On y va! Gehen! =======

最初に気づくのは「文字の書き順がおかしい」という事。
前回も書いたが、ヘブライ語は右から左に書く。
英語や日本語等、世界の多くの言語とは逆だ。

例えば日本語や英語等、世界の大部分の言語では
12345678・・・の順番で文字が並ぶ。

逆にヘブライ語やアラビア語では
・・・87654321
こういう順番で文字が並ぶ。

では最初の「君が代は」と「クムガヨワ」を見比べてみよう。
ふむふむ。6文字か。
じゃ、ちゃんと文字は「654321」の順番に並んで・・・ねえよorz
このHPの書き方だと、番号をふると
321  654
の順番で並んでいる。

文字は確かに右から左なんだが、単語が逆。

これ→「גאה קומ」がこの日ユ同祖論信者の書いた順番。
これじゃ、仮に読むとしても、「ガヨワ・クム」。
「君が代は」 が 「が代は君」になっちゃったよ!!


しかし善意で解釈すれば、日本語でフリガナの

「クム・ガ・ヨワ」を書く都合上
単語の順番を入れ替えたのか?とも考えられる。

日本語は左から読む。ヘブライ語は右から読む。
そのため日本語とヘブライ語を単純に並べて書いてしまうと
ガヨワというヘブライ文字の上に、クムというフリガナが来て
クムというヘブライ文字の上に、ガヨワというフリガナが来る。
これでは、まるでフリガナをふる位置を

間違えてしまったかのようなので
意図的に単語の順番を変えたのだろうか?

しかし・・・実はもうちょっと先で
「そんな殊勝な心掛けじゃねえよ、

こいつ、ガチで順番なんか考えてねえぞ」
と思われる箇所が出てくる。乞うご期待。


しかも、この「君が代は」は文字の並び順以外にもまだ問題がある。
それは、メム(一番左の文字)がおかしいという事だ。
これメムソフィートにしなくてはいけない。
メムは単語の切れ目に来た時はメムソフィートに変化する。
ちなみにこれがメム→「מ」 

そしてこれがメムソフィート→「ם

だから正しくはこう→「קום גאה」書くべき。
(語順とメムソフィートの両方を修正)
これでもまだ、クム・ガ・ヨワと読んでいいのかどうか微妙だ。
「ヨワ」と読むからには「Y」や「W」に相当する文字が

ほしいのだが、それが見当たらない。
Yと言えばヨッド。Wと言えばヴァヴなんだが、両方共無い。
ただ、最後にヘー(ה)がある。
これが「H」なので「君が代は」の「は」のつもりか?

と思えなくもない。
これじゃ「kimigayoWA」が「kimigayoHA」になるんだがw

どうも日本語から勉強しなおさないといけない可哀想な子みたいですな。

では、文字と発音は一旦ここまでにして、意味。

この、「ガヨワクム」が「立ち上がる」と解釈できるか
どうかはよく分からない。
だがgoogle翻訳で「stand up」をヘブライ語訳した所

לקום」が出てきた。
意外にも(?)いい感じだ。
活用させれば、ビンゴしそうな雰囲気だ。
頭のラメドは不定詞だから付いているのかと思われる。
しかし、まだ私はヘブライ語の動詞の活用を

マスターしてはいないから断言はできない。一旦保留。

では、残されたこれ→「גאה」はなんだろう?
これもgoogle翻訳してみたら「proud」と出てきた。

・・・?? 「誇りを持って立ち上がれ」?
ちなみに、このHPでは何を思ったのか「立ち上がる」としか訳してない。


まあ、最初に書いた通り、「超初心者レベル」
「文字さえ覚えればバレちゃう嘘を叩く」という方針なので 

このまま次に進む。

次。「千代に八千代に」
これも、ヘブライ語初心者ですら見た瞬間おかしいと思う箇所がある。
「千代に」も「八千代に」もヘブライ文字が全く同じじゃないか!!
「ヤチヨニ」の「ヤ」はどこに行った?

ヘブライ文字のどれが該当するんだ?

「神の」選民という訳から推測するに
「八千代に」の「ヤ」は「ヤハウェ」若しくは「ヤハ」を

意味すると解釈したんだろう。
これ自体は別におかしくはない。
例えば旧約聖書に「エリヤ」という預言者が出てくる。
彼の名前は「エロヒム・ヤハ」つまり「ヤハウェは神なり」を

省略した名前だと一般に解釈されている。
神様への信仰心を告白する意味を込めた名前だ。
だから「エリヤ」の「ヤ」が、「ヤハウェ」の「ヤ」で許されるなら
「ヤチヨニ」の「ヤ」も、「ヤハウェ」の「ヤ」という事だろう。
だけど折角、日ユ同祖論にとってプラスな

こういう解釈(ヤ)を自らの手で握りつぶしてどうする?
「ヤ! ヤ! ヤがあったぞ!

これはヤハウェの省略形に違いない!」って
シャブ&アスカの「YAH YAH YAH」ばりに

必死に連呼する所じゃないのか?
要するに聖書の神様の名前すら分かっちゃいないレベルか。

それからもう一個。左から二文字目がカフだが

これはヌンの間違いだ。
これがカフ→「כ」 
これがヌン→「נ
非常に似ている。横棒部分が長いか短いかだけの違い。
「土曜日」の「土」と、「武士」の「士」のようなもの。

しかしこれを間違えたら「チヨニ」とは読めない。
せいぜい「チヨキ」になる。ジャンケンか?

ヘブライ語は画数が少ないから、
線が長いか短いかとか、線がくっついているか離れているかとか
些細な違いで全く別の文字になってしまう。
誰かはそれを悪用して無理矢理、

ヘブライ文字と平仮名カタカナをこじつけようとしていたはずだ。

だから「ヤチヨニ」も修正。こう→「ציוכי」書いているけど、

せめてこれ→「יה ציוני」ぐらい書いてくれないと困る。

尚、google翻訳で調べたら、これ→「ציוני」(=チヨニ)が

"Zionist"=シオニストらしい。意外といい単語出してくるじゃないか。
ま、その貴重な大正解を、誤字で台無しにした馬鹿がいた事は黙っておいてやる。

尚、「ヘブライ語5級」ながら言わせてもらえば

"神の"の部分が何か変。一応、単純に並べるだけで
「神の」というニュアンス(所有格?)を出す方法はある。

例えば創世記1章2節
「地は形なくむなしく闇が淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてを覆っていた」

ここで「神の霊」という表現が出てくるが原文では
「ヴェルアハ エロヒーム」という。

ちなみに「ורוח אלהים」これだ。
頭の「ヴェ」=「ヴァヴ」は「and」の意味なので
頭のヴァヴだけ飛ばしてグーグル翻訳にコピペしてみよう。

ちゃんと訳が出てくる。

気がついている人もいるだろうが

אלהים=エロヒーム=神なので
רוח=ルアハ=霊である。
רוח אלהים」この語順に注目。修飾語と被修飾語の位置関係が、
日本語とは逆。フランス語に近い。

(最初のヴァヴはandだから今は省略)

例えばフランス語で「モンブラン」と言えば
モン=マウンテン=山 ブラン=ブランク=白 だ。
「白い」という形容詞が後ろから修飾している。
(但し、フランス語の語順は2パターンあるので
日本語と同じ語順で出てくるパターンもある)
 

さて、ここから考えると先程の「ヤチヨニ」は
「シオニスト」が修飾語で「神」が被修飾語なのか?
「シオニストであらせられる神様は」という事か?

しかし、この画像内では「神の選民」と訳してある。
よく分からない。

もうひとつ別の解釈があるとすれば
「ヘブライ語にはbe動詞が無い」という観点からの翻訳もある。


つまりエリヤの名前の説明の所と同じ文法だ。
「エリヤ」は「エロヒム ヤハウェ」の略である。
そして、この「エロヒム ヤハウェ」は

「ヤハウェは神なり」を意味する文章である。
つまりヘブライ語では
「2つの名詞を並べると、その2つがイコールであるという意味」
というルールがある。つまり英語でいうbe動詞が存在しない。


たとえるなら「ぼくドラえもん〜!」と同じ。
若しくは「オス! オラ悟空!」と同じ。

そこから考えると、「チヨニ」は
「神はシオニズム主義者である」という文章か?とも考えられる。

しかしこれでも、先程の形容詞としての解釈と大差無い。

やはりこの日ユ同祖論信者が何を根拠にこういう訳をしたのか不明。

次。「石の」の所→「אכרש
まずこれは読み方がよくわからない。

とりあえず「イシュ」や「イシュノ」には読めない。
この日ユ同祖論信者がこれ以前にやらかしているミスから
推測すると、まず「チヨニ」のケースと同様、
カフとヌンを間違えていると思われる。
線の長さを全く区別できていない=文字すら暗記できていないレベル。
そういう視点で考えるとレーシュとヴァヴだって、間違えている
という仮説が成り立つ。
よって、カフ・レーシュの部分をヌン・ヴァヴに訂正してみる。
真ん中の二文字のこれ→「כר」が、本当はこう→「נו

じゃないのか?という推測だ。これなら「の」と読める。

たった22文字の暗記すらできていないから
ツギハギのコピペだからこうやってボロが出る。
これだから私のような「ヘブライ語5級」に批判される訳だ。
悔しかったらアレフベートぐらい覚えてから出直してこい!

さて、残された二文字=「אש
これで「イシ」若しくは「イシュ」と・・・読めなくもない。
しかし、困るのは、この残された二文字は

元々の四文字の内の最初と最後である。
この記事の最初にも書いたがヘブライ語は右から左に書く。
だから4文字あったとしたら「4321」の順番で読むのが常識。
しかし、今は「2431」の順番で読めばお望みの「イシノ」と

読めなくないかもしれないという話になっている。
順番が無茶苦茶だ。
文字がうろ覚えなどころか並び順すら理解していないんじゃないか?
これが、私が最初の「君が代は」=「ガヨワ・クム」の所で

「順番なんか考えていない」と批判した理由。
よってこれ→「אכרש」は最悪でも  
こう→「אשנו」書いてくれないと話にならない。
  
ちなみにgoogle翻訳しても「人類の希望」なんて

修正前の文字列でも修正後の文字列でも全然出てこないけどな!!

次。「巌となりて」。ここで大問題発生。
テトラグラマトンを「イワ」と読ませている。


「神様」なんでしょ?当然これ=テトラグラマトン→「יהוה」が

神様に違いない。ヤハウェ、テトラグラマトン。
まさかこんな有名なもの知らないとは言わせない。

ここで、テトラグラマトンを少々説明。

יהוה この四文字はテトラグラマトンと呼ばれ
神の名前を示す四文字としてヘブライ語の世界では非常に有名。

ヘブライ語が全然できないキリスト教徒でも
シャロームとテトラグラマトンだけは知っていたりする。

日本語が喋れないダメリカ人でもスシとニンジャだけは
知っているようなもの。それぐらい超有名。
知らないヤツはモグリ以下。
まさかそんなバカいる訳ねえよ・・・と思ったら、

いたよ!!
日ユ同祖論の世界にはそういうホームラン級のバカが
いやがったよ!!

で、何をトチ狂ったか、これを「イワ」と読んでいる。
君たちの考える神様の名前は「イワ様」なのかな?
もしかして「お岩さん」?

なんかご利益が全然無さそうな名前だなw

テトラグラマトンの読みは失伝しているが、
従来通り「ヤハウェ」と読むのがセオリー。
少なくとも「イワ」よりは「ヤハウェ」の方が正解に近い。

例えば、「エリヤ」や「ハレルヤ」等、

神様につながりがある言葉に「ヤ」が頻出するのは
その間接的証拠となる。
もし神様の名前が「イワ」なら、そういう神様につながりのある言葉に
「イワ」なり何なり頻出しなくてはおかしい。
例えば、「エリヤ」ではなく「エリワ」だか「エリイワ」だか
そういう名前の人がいなくては不自然。
ちなみに、そんな名前の人、聖書の中に全く出てこない件
(注:これは聖書の全文検索をかけて口語訳、新共同訳両方で確認済)

しかも、問題の「巌となりて」の箇所をgoogle翻訳すると、
Jehovah Nlhaya signalと出てくるので意味不明。
どういう訳をしたら「神の予言が成就する」になるのか
是非是非ご指導いただきたいものですw

で、最後。「苔のむすまで」
まず気づくのは「コルカノ」の所。
左からヴァヴ、ヌン、カフ、ラメッド、カフ
つまりここでは「千代に八千代に」の所とは違って

ヌンとカフが正しく使われている。

もし、間違ってアレフベート(文字)を記憶していたのなら
ここでもヌンとカフを同様に間違えていないとおかしい。
ところが、なぜか今回は正しく使えている。

たとえ間違っていたとしても暗記しているのなら
同じように表記をしないとおかしい。
これは「そもそも文字を暗記すらしていない。
間違う以前の問題だと思われる。

何かの一覧表をカンニングペーパーに使ってるレベルだから、
ある時は正しく、ある時は間違える」と推測される。
だから、たった22文字すら暗記できないくせに、

デカイ面するなと私は主張する。

ちなみに、google翻訳しても「人類」も「救い」も「預言」も「鳴り響け」も「全地」も
ぜーんぜん、カスリもしませんw
「苔の」=「コケノ」を「コルカノ」なんて珍語にこじつけてまで

同祖論を強行したのにサワヤカなまでの空振り。

もうひとつ言っておく。預言と予言は違う。全く違う。
キリスト教徒なら小学生レベルでこの程度の違いは教わる。
しかし、この信者クンはその違いが分かっていないっぽいw
聖書に出てくるのは基本的に神の「預言」。
その中には一部「予言」に分類できる内容が含まれる。
これ以上の説明は教会にでも通って教わってこい。

で最後。「ムーシュマッテ」
やれやれ。最後でまた、やらかしている。
左から二番目と五番目。メムソフィートが出てきている。
メムは単語の切れ目ではメムソフィートになるが
他の場所ではメムのまま。
こんな所でメムソフィート使っちゃダメ!
文字の形が変わるのはどのタイミングか?
普段の形はどっちで、終末形はどっちか?
こんなの独習書を開けば始めの10ページか20ページで出てくるはずなんだが。

それから最後アインだけどアインは「T」の音にはならない
これも善意に解釈してやると、こう→「םושםע」書いてるけど
せめて、こう→「מושמד」じゃないのか?
若しくはこう→「מושמת」か?

ちなみにgoogle翻訳ではどっちの場合も
destroyedとかvoicedとかplacedとかトンチンカンな訳しか出てこないけどな!


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私のような「ヘブライ語5級」の意見だけでは
信憑性に問題があると見る向きもあるかと考え
最後にガチプロの意見を紹介しておく。
これ は獨協大学のシラバス。私がたまに名前を出す
阿部望先生がヘブライ語の講義を持っている。
11頁の「現代ヘブライ語Ib」では講義の中に
日ユ同祖論も出てくる。そして阿部先生は日ユ同祖論を
「珍説・奇説」とバッサリ切り捨てているw

どうした?日ユ同祖論信者ども。
ヘブライ大学&同大学院で聖書学やヘブライ語学を学んで
イスラエル滞在歴13年という、ガチプロの阿部先生に
口ごたえする勇気はあるか?


お前らの主張する日ユ同祖論なんか「珍説奇説」でしかねえんだよ!
ヘブライ語なんか誰も知らないだろう。

だから上から目線で語っておけば突っ込まれる心配もない。
そう思ったんだろ?
言ったモン勝ちだとタカをくくって調子にのるのもいい加減にしろ。

さあ、最後はお約束のひと言
「黒幕はキリスト教徒!」 
(完)